受賞者の所属は受賞当時のものです。
目次
第19回(令和7年度)
| 受賞者 | 栗山 絵理 会員(東京学芸大学附属高等学校) |
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| 受賞理由 | 栗山絵里会員は,長年にわたって地理教育,地図教育の教材開発や授業実践に取り組んできた。特に,生徒の手書き地図の分析を踏まえ,高校生のメンタルマップによる空間認識の現状を理解し,メンタルマップを踏まえた高校生を対象とした授業は,先駆的な実践である。これらの授業実践に加え,高校生の空間認識を手描き地図を用いて解明する研究を重ね,「高校生による異なる空間スケールの手描き地図の縦断的分析」(『地図』 61 巻 2 号 p. 1-9,2023年)など多数の論考を公表している。その研究成果は高く評価され,東京都立大学から博士の学位が授与されている。さらに,2023年度「瀬戸玲子基金・女性のための地図振興援支援事業」の研究助成を受けて,「今昔マップ」の今後の在り方に関するフィージビリティ・スタディを実施した。その一環で,非常勤講師先の女子大学で地図教育への活用可能性を分析するなど,高大連携でも地図教育の有効な実践を蓄積している。このような活動を総合的に評価し,栗山絵里会員を教育普及賞に推薦するものである。 |
第18回(令和6年度)
| 受賞者 | 内川 健 氏(私立成蹊小学校) |
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| 受賞理由 | 成蹊小学校の内川健教頭は,小学生の授業において「地図化する力」を高める指導を長年にわたって行っている。また,最近は,社会科における観光教育の実践にも積極的に取り組んでおり,その際は地図の有効性を発揮した授業を行い,その実践成果はさまざまな研究会やシンポジウムなどで報告している。 一方,成蹊学園は,小学校から中学校,高等学校,大学までの一貫した教育を行う学園であり,学園として「サステナビリティ教育研究センター(ESDセンター)」を開設し,小学校から中学・高等学校,大学までの連携によって持続可能な開発のための教育(ESD)を学園ぐるみで進めている。東京・武蔵野エリアの地域ESD活動推進拠点の認定を受けるとともに,世界と日本のユネスコスクールのネットワーク(Associated Schools project Network)に参画し,国連が提唱する「持続可能な開発目標 (SDGs)」の実現に向けて教育を展開している。その中で,内川教頭は,小学校での地図を用いたSDGsの実現に向けたESD教育のリーダーとして活躍しており,地図のもつESDへの有効性を授業で実践している。このような活動が総合的に高く評価された。 |
第17回(令和5年度)
| 受賞者 | 宮崎県立佐土原高等学校 |
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| 受賞理由 | 宮崎県立佐土原高校は,2017年から避難所情報などを提供する防災アプリ「SHS災害.info」を開発し,配信している。同校の情報技術科と情報デザイン科の生徒が中心となって,毎年,機能の追加を続けており,2022年は5作品目を公開している。その間に,2017年と2018年は2年連続で国土地理院防災アプリ大賞,2019年と2021年はG空間EXPO Geoアクティビティコンテスト防災減災部門賞,そして2022年はG空間EXPO Geoアクティビティコンテスト最優秀賞を受賞している。さらに,2021年は 「「測量の日」における功労者感謝状」が指導教員に贈られている。 佐土原高校で,情報技術科と産業デザイン科の生徒が共同して,長年に渡り防災地図アプリを継続的に開発していることは,注目に値する。そしてデザインと情報技術の融合を高校生が実践していることは,高く評価できる。最新版では,現在地周辺の避難所・避難場所をARで表示する機能や,オフラインでも避難所やハザードマップを確認できる機能,非常用品の持ち出しリストなども追加されている。さらにアプリの英語対応も図られており,地図アプリを介した防災面での地域課題の解決を生徒と指導教員が一体となって学校全体で継続的に取り組んでいることを評価し,日本地図学会教育普及賞を表彰するものである。 |
第16回(令和4年度)
| 受賞者 | 東野茂樹 氏(東京都葛飾区立水元中学校) |
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| 受賞理由 | 東京都葛飾区立水元中学校の主幹教諭である東野茂樹氏は、中学校社会科地理的分野において地図を活用した独創的な授業を展開してきた。とくにハザードマップを用いた防災教育においては、これまでにも日本地図学会定期大会のシンポジウムやフォーラム、例会において貴重な授業実践の報告を複数行うなど日本地図学会への貢献度も極めて高い。その際、東野氏は実際の生徒の指摘や反応を記録した授業動画も用いながら、誤読しやすい地図表現の具体例、指導教員が抱える資質上の問題など、現場教員の視点から地図教育上の諸問題を明らかにしてきた。このほか「NHK for School 10 min.ボックス地理」の出演、「地図情報」誌の執筆、内閣府地方創生推進室、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局主催のRESAS de 地域探究成果発表会での発表など、東野氏の多岐にわたる地図教育の普及活動は、極めて高く評価することができる。 |
第15回(令和3年度)
| 受賞者 | ICTでシェアする地理教材研究会 |
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| 受賞理由 | 今般のコロナ禍のなか、全国の地理教員で構成されている全国地理教育研究会(全地研)の有志(約30名)が結成した「ICTでシェアする地理教材研究会」は、オンライン授業で活用することを前提とした地理教材(Google SlideやGoogle Earth creation tool)を作成し、無償で公開する活動を2020年4月から展開している。この活動は、①Googleスライドを用いることで、各授業で必要に応じてカスタマイズが可能、②地理院地図やGoogle Earth、今昔マップなどGISツールへのリンクを多用しているため、生徒が主体的に学べる、③制作者も利用者の声を反映して随時手直し・アップデートが可能、などの特徴を有しており、地図・地理教材の普及において、極めて有意義な活動である。2022年の「地理総合」の必修化に向けて、当該団体の活動により、幅広い地図・地理教材の充実と、全国の地理教員とのネットワーク構築の面で、極めて高い効果が期待される活動である。以上の理由から、日本地図学会賞(教育普及部門)にふさわしいと考えるため、推薦するものである。 |
第14回(令和2年度)
| 受賞者 | 河合豊明 会員(品川女子学院) |
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| 受賞理由 | 河合会員は、広島、東京において中・高校の地理の教壇に立つ傍ら、学校現場においてGIS の活用が求められている中、同氏が所属する関係学会のシンポジウムなどに積極的に参加し発表するとともに、生徒達にも発表させるなどして、成果を即座に授業に取り入れ、実践的な地図教育を実施している。2019年7月のICC 東京大会においては、生徒達に「市町村の活性化」のアイデアを提案させる100 分間の授業をICC 参加会員に公開した。また、ICC 併設地図展に参加した生徒達が引率者の同会員や展示説明員に質問しながら長時間見学している光景が見かけられた。さらに、同氏の生徒が同年11月末開催のG空間EXPO2019 において日頃の成果を積極的に発表するなど、同会員の確実な指導成果がうかがえ、その教育効果は高く評価されるものである。 |
第13回(平成31年度)
| 受賞者 | 中村和郎 名誉会員(駒澤大学名誉教授)・(一財)地図情報センター |
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| 受賞理由 | 『DOOR ドア -208の国と地域がわかる国際理解地図-』 <全5巻> 帝国書院(2018・2019)は、世界208か国の地理情報をすべて見開きで構成し、地図の周囲に国を代表する建造物や風景、動植物などをイラストで描いている。本書を開くことで、楽しく、しかも国の由来や国旗の説明やIOCコード、そして正確な地理情報にも接することができる。地図はすべて等高段彩で表現され、地球上の位置とスケールを付している。ほとんどの漢字にはルビを付しており、子どもから大人まで、さらには日本語を学ぶすべての人びとの優れた教材としても活用可能である。本書のこうした編集方針は、地図やイラストを通して、楽しくその国の地理を知ることに成功しており、高く評価できる。 |
第12回(平成30年度)
| 受賞者 | 伊藤智章 会員(静岡県立裾野高等学校教諭) |
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| 受賞理由 | 高校の地理の教員である伊藤氏は、勤務校に於いてGISを生かした授業実践を多数展開し、GISや地理教育等に関してブログ「いとちり」での長年にわたる情報発信をはじめ、各種論文を多数発表してきた。また、『地図化すると世の中が見えてくる』(ベレ出版、2016年)を上程するなど、教育関係者向けの書籍に留まらず、一般向けの啓発書を発表し、地図の教育・普及に大いに貢献している。 |
第11回(平成29年度)
| 受賞者 | 田中隆志 氏(群馬県立桐生女子高等学校教諭) |
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| 受賞理由 | 高校の地理の教員である田中氏は、勤務校において地図を生かした授業実践を多数展開し、実践記録や授業にすぐ使える授業コンテンツなどをウェブサイト「GEOLINK(ジオリンク)」で発信してきた。また、「学校現場における地図・GISの活用事例と課題」(『地図』54巻3号)など、地図教育の実践に基づく研究論文を多数発表している。さらに、群馬県地理教育研究会の事務局や全国地理教育研究大会実行委員会の事務局を担当するなど、地図の教育・普及に大いに貢献している。 |
第10回(平成28年度)
| 受賞者 | 畔田豊年 会員(兵庫県立龍野高校) |
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| 受賞理由 | 高校の地理の教員である畔田会員は、長年にわたり、地図・GISを効果的に用いた教材の開発に取り組むとともに、地図・GISを的確に活用した授業を実践してきた。特に、開発した教材や授業実践事例を早くからウェブサイトで積極的に公開し、多くの教員がそれらを参考にすることを可能とするなど、教育分野に大きく貢献している。 |
第9回(平成27年度)
| 受賞者 | 土方美和子 様(多摩市立永山中学校)・原島久男 様(稲城市学校経営支援室) |
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| 受賞理由 | 1997年以来毎年実施されている「多摩市身のまわりの環境地図作品展」において、その運営を中心的に担い、地図教育・環境教育に大きく貢献した。 |
第8回(平成26年度)
| 受賞者 | 加藤博美 様 (仙台市立蒲町中学校教諭) |
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| 受賞理由 | 高校の地理の教員である小山氏は、勤務校のる生徒を指導して積極的に地域調査を通じた地理教育を実践するなどしてきた。鳥取県児童生徒地域地図作品展には、これまで同氏が指導する生徒が多数入賞しているほか、同氏自身もその運営に携わってきた。これらの実践は地図の教育・普及に大いに貢献するものであり、教育普及賞にふさわしいと認められる。 |
第7回(平成25年度)
| 受賞者 | 小山富見男 氏(鳥取敬愛高校長) |
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| 受賞理由 | 高校の地理の教員である小山氏は、勤務校のる生徒を指導して積極的に地域調査を通じた地理教育を実践するなどしてきた。鳥取県児童生徒地域地図作品展には、これまで同氏が指導する生徒が多数入賞しているほか、同氏自身もその運営に携わってきた。これらの実践は地図の教育・普及に大いに貢献するものであり、教育普及賞にふさわしいと認められる。 |
第6回(平成24年度)
| 受賞者 | 小林岳人 氏(千葉県立松戸国際高校) |
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| 受賞理由 | 公立高校の地理の教員である小林氏は、地域や多様な生徒の実態に即し、自らさまざまな地図を工夫して、授業や学校行事等の教材として用いている。また、そのような授業実践を本学会大会などで積極的に報告している。これらのことから、同会員は教育普及賞にふさわしいと認められる。 |
第5回(平成23年度)
| 受賞者 | 森 泰三 氏(岡山県立岡山一宮高教諭) |
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| 受賞理由 | 森氏は、高等学校の地理の授業において、地図・地理情報システムの活用を積極的に図ってきた。また、地域地理科学会の年次大会の一環として行われる高校生によるポスター発表において、同氏の指導により、勤務校の生徒が地図や地理情報システムを用いて行った研究を多数発表している。これらのことから、同氏は教育普及賞にふさわしいと認められる。 |
第4回(平成22年度)
| 受賞者 | 埼玉県立文書館地図センター |
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| 受賞理由 | 同センターは、地図に関する知識や活動方法等の啓発、普及を行うために設置されたもので、1993年以来、年2回以上の地図教室を開催し、読図と野外観察を組み合わせた生涯学習事業を実施している。2002年以降は、年2回のうち大人向けと子供向けをそれぞれ1回ずつ開催している。これまで受講者延べ人数は600人以上となっている。こうした取り組みは、地図の教育普及事業として高く評価される。 |
第3回(平成21年度)
| 受賞者 | 菊池洋子 氏(藤沢市教育文化センター) |
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| 受賞理由 | 同氏は中学校国語科の教員であったが、2004年度に藤沢市教育文化センターに着任、2005年度から同市社会科研究部会によるGISを用いた授業研究の運営に力を注いだ。特に市内の小中学校のパソコンへの教育用GIS導入や市のDMデータの学校への無償提供に尽力し、3カ年で小中学校の1800台のパソコンにGISソフトが搭載されるようになった。このGISは社会科のみならず、総合的な学習の時間などでも活用され、2007年には実践事例をまとめた報告書「新しい地域学習~市民性の育成~」が作成されている。藤沢市のこの取り組みは公教育におけるGIS活用の先進事例として知られており、高く評価される。 |
第2回(平成20年度)
| 受賞者 | 大野新 氏(筑波大附属駒場中・高教諭) |
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| 受賞理由 | 10年以上にわたり、地形図学習から環境地図作成までを体系的にカリキュラムの中に取り入れ、生徒の環境地図の作品多数を毎年「私たちの身のまわりの環境地図作品展」に応募するように指導するなど、地図教育の実践に取り組み、大きな成果を上げている。 |
第1回(平成19年度)
| 受賞者 | 小野寺徹 会員 (北海道滝川高校) |
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| 受賞理由 | 毎年旭川で行われ、世界的規模の地図作品展となっている「私たちの身のまわりの環境地図作品展」の実行委員長を長く務めるとともに、内外の教育関係者が利用している「環境地図づくりマニュアル」を執筆編集した。また、勤務校においても地理教育、地図教育に力を注ぎ、毎年勤務校から上記地図作品展に多数の応募がある。 |
